自衛隊の転勤に伴う引越し費用や、支給される各種の転勤手当についてまとめます。
いくら費用が掛かって、いくら自衛隊から手当が出て、どれだけ自己負担になるのか心配ですよね。
引っ越し代は実費支給とはいっても、引越しにかかった総額がすべて支給されるわけではありません。
- 赤字はいくらくらい?
- 自己負担金はどれくらい?
特に初めての転勤を経験する人など、何も目安が分からなくて不安ですよね。
そんな引越し初心者のために、引越しにかかる費用や、転勤に関する手当をまとめました。
自衛隊の引っ越し費用一覧
引越し代
引越し業者に払う費用です。
自衛隊からは「移転料」として実費支給されます。
後日、赴任旅費でまとめて支給されます。
ただし、エアコンの取り付けといった「オプション代」については支給されません。
引っ越し代の総額ではなく、「〇〇プラン」といった純粋な荷物の運搬料金のみ実費支給となります。
退去費用
官舎に入居している場合は修繕費として退去費用を支払います。
以前は金額は月3000円×入居月数が目安でしたが、令和四年から変更になり経年劣化や通常損耗の範囲であれば修繕費の負担なしになりました。
ただし、通常使用ではない汚れや破損などは自己負担となります。
賃貸アパートに入居している場合は、敷金で賄える場合もあります。
ハウスクリーニング代
部屋の退去後のクリーニング代です。
官舎に入居している場合は、ほとんどがクリーニング業者に依頼する事が多いです。
ハウスクリーニングの相場は部屋の広さによって変わります。
- ワンルーム・1K=15,000円~30,000円
- 1DK・1LDK=30,000円~40,000円
- 2DK・2LDK=30,000円~70,000円
- 3DK・3LDK=50,000円~85,000円
「ハウスクリーニング費用として一律〇〇万円支払うこと」と官舎の規約で定められている場合もあれば、自分で業者を手配して依頼することもあります。
賃貸に入居している場合でも、敷金0円だったタイプは退去時にハウスクリーニング必須の物件もあります。
不要な荷物の処分代
引っ越しで不要になった荷物の処分に係る費用です。
リサイクルショップに持っていけない古い家具や家電などは、お金を払って業者に回収してもらう事が多いです。
不用品を業者回収してもらう際の費用相場は、荷物の量で変わってきます。
- 軽トラック半分程度=8,000〜 15,000円程度
- 軽トラック1台分=18,000〜25,000円程度
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交通費
旧住居から新住居までの交通費です。
自衛隊からは「移転料(旅費交通費)」として実費支給されます。
新幹線、飛行機、フェリー代、高速道路料金などの、領収証の提示が必須です。
宿泊費
引越先へ向かう途中のホテル代等です。
自衛隊からは「着後手当」として定額支給されます。
ホテル・旅館などの領収証の提示が必須です。
挨拶費用
引越しの際に近隣住民に挨拶する粗品代です。
1つあたり100円~500円の生活必需品を配ることが多いです。
団地タイプの官舎であれば同じ階段を使う6~10世帯分、賃貸などでは部屋の上下左右の4世帯分がマナーとされています。
自衛隊からは「着後手当」として定額支給されます。
新居の敷金礼金
賃貸アパートなど新しく部屋を借りる際の費用です。
敷金・礼金の相場は地域や物件によって様々です。
目安として、敷金は家賃の1~2ヶ月分、礼金は家賃の1~2ヶ月分が一般的です。
仮に家賃が5万円だとしたら、10万~20万円の費用が必要になります。
自衛隊の転勤に関する手当一覧
赴任旅費(引っ越し費用にかかる手当)
- 移転料(引っ越し代):引越し業者への支払い費用など
- 移転料(旅費交通費):引っ越し先への交通費など
- 着後手当:引越先へ向かう途中の宿泊料・挨拶費用など
移転料(引っ越し代)
引越し業者へ支払った引っ越し代を実費支給。
ただし、支給上限は移転料の定額3倍まで。
【支給条件】
- 引越し業者3社からの内示後の日付での見積書の提示が必須
- 異動距離が60km以上の場合
- 転勤の内示が出た後の引っ越しに限る(それ以外は自己都合扱いで支給されない)
移転料(旅費交通費)
移転先までの交通費(片道分)が支給されます。
使用する交通機関によって、基本的には実費支給となります。
100km以上の距離であれば、飛行機や新幹線を使っても大丈夫です。
家族分も自衛官本人と同様に支給されますが、子供は年齢によって支給額が変わります。
- 12歳以上⇒大人と同額
- 6歳~11歳⇒12歳以上の半額
- 0歳~5歳⇒交通費無し
細かい規定や、具体例などは下記の記事で説明しています。
着後手当
引っ越し先までのホテル代や、挨拶費用にかかる費用が支給されます。
異動距離、階級、地域によって定額支給となります。
目安としては、家族帯同で100km以上の距離なら10万前後です。
家族分も自衛官本人と同様に支給されますが、子供は年齢によって支給額が変わります。
- 12歳以上⇒大人の2/3
- 6歳~11歳⇒12歳以上の半額
- 0歳~5歳⇒ 大人の1/3
- 移転料(引っ越し代)
- 移転料(旅費交通費)
- 着後手当(宿泊費)
上記3つ手当は「赴任旅費」として、まとめて口座に振り込みされます。
広域移動手当
旧勤務地から新勤務地までの距離60km以上で支給。
毎月の給料に規定の支給率で手当が上乗せされます。
- 異動距離60km以上300km未満:5%
- 異動距離300km以上:10%
支給期間は異動の日から3年間です。
目安としては一般的な自衛官家庭であれば、毎月15,000円ほどです。
地域手当
特定の地域に配属された場合、給料の3%~20%が地域手当として毎月支給されます。
【地域手当の一例】
- 東京都練馬区:20%
- 埼玉県朝霞市:12%
- 静岡県御殿場市:6%
- 福岡県北九州市:3%
仮に東京都内の駐屯地に勤務した場合の目安は、一般的な自衛官家庭であれば、毎月50,000円ほどです。
単身赴任手当
転勤をきっかけに単身赴任した自衛官に支給されます。
支給金額は「家族の住む自宅」から「転属先の自衛官の居住地」までの距離で変わります。
基本額30000万円から、距離による加算額(最大7万円)によって計算されます。
【単身赴任手当の一例】
- 300km~500kmで毎月約46,000円
- 900km~1100kmで毎月約70,000円
- 2500km以上で毎月約100,000円
※自宅を購入したため途中から単身赴任となった場合は、自己都合扱いとなるので単身赴任手当は出ません。
離島手当(特地勤務手当)
離島や不便な地域に勤務する自衛官に支給されます。
給料の23%~4%が毎月支給されます。
- 沖縄県与那国:23%
- 北海道鹿追 (11月~3月):4%
自己負担になる引越し費用は?
引っ越しに係る費用はたくさんありますが、その総額が全て自衛隊から支給されるわけではありません。
以下の費用は自己負担となります。
- 引っ越しのオプション代
- 官舎の退去費用(10万~20万)
- クリーニング代(5万~8万)
- 不要な荷物の処分代(2万円)
- 賃貸アパートの敷金礼金(10万~20万)
いずれも引越し直後は赤字かもしれませんが、引っ越し後に出る手当を貯めれば赤字は埋まりますよ。
60km以上の転勤であれば、引っ越し代・交通費・宿泊費はほぼ実費支給されます。
引っ越し後も「広域異動手当」がでますし、3年間を合計すると50万円近くの手当が支給されることになります。
自己負担の金額が50万円以下であれば、数年以内に赤字は補填できます。
そう考えたら、自衛隊から支給される手当で引越し費用はほぼ賄えるとも言えますね。