自衛官の災害派遣手当って、どのくらいの金額なのが気になりませんか?

調べてみた所、結構安い&支給条件が厳しいということで、私もびっくりしました。
災害派遣の出動要請が出ると、自衛隊は災害などで孤立した住民を救助したり、断水した場合に給水車を用意したり、簡易浴場を設置したり、市民の生活の手助けを行ったりします。
こういうときに出動した自衛官に災害派遣手当が支給されます。
自衛官は国家公務員ですから、災害派遣手当についてもちゃんと規定があります。
東日本大震災や、熊本地震、最近では2019年10月の台風19号による洪水被害なんかでも自衛隊が災害派遣として出動しているので、自衛隊の災害派遣に興味を持つ人も多いでしょう。
というわけでこの記事では
- 自衛隊の災害派遣手当の支給額
- 災害派遣の支給条件
についてご紹介していきます。
自衛隊の災害派遣手当の支給額は日額1620円

正式には「災害派遣等手当」と呼ばれるのですが、実際にいくら支給されるのかは防衛省の職員の給与等に関する法律に記載されています。
作業一日につき千六百二十円(災害対策基本法に基づく警戒区域及び原子力災害対策特別措置法に基づく緊急事態応急対策実施区域並びにこれらに準ずる危険な区域として防衛大臣の定めるものにおける作業並びに人命の救助の作業で特に生命に著しい危険を伴うものとして防衛大臣の定めるもの(一日従事職員の作業を除く。)にあつては、三千二百四十円)

すごく難しい言い回しのなので、わかりやすいように言い換えますね。
「あれ?意外と少ないな」と思った方も多いと思います。
サラリーマンの出張手当の場合は、日帰り出張でも2000円くらい貰えますからね。
災害派遣手当が増額される場合もある

実は、災害派遣手当には増額される条件というのが存在します。
例えば東日本大震災ではこんな風に大幅な増額があった
2011年の東日本大震災の際も話題になりましたが、遺体の搬送や原発地域での活動に従事した場合は、大幅な増額が認められています。
なお、東日本大震災に係る活動に伴う手当については、余震や津波発生の危険、原発事故に伴う影響等、かつてない困難な状況下において、前方、後方支援業務の別なく、長期間にわたる厳しい任務が遂行されたことから、防衛省は、23年6月29日に施行令が改正されたことを受けて、防衛省職員給与施行細則の一部を改正する訓令(平成23年防衛省訓令第25号)を発し、今回限りの特例措置として手当の額の増額等を行った。これにより、1日当たりの手当の支給額は、東日本大震災の発生時に遡って、災害派遣については区域等に応じて1,620円、3,240円又は6,480円、原子力災害派遣については福島第一原子力発電所からの距離等に応じて3,240円、6,480円、16,000円、21,000円又は42,000円に改正された。

原発の近くとか危険性の高い場所の災害派遣だと、手当は増額されます。
例えばこんなケースもありました。
原子炉に放水する危険性の高い任務→1日4万2000円
福島第一原発に近い範囲の任務→1日2万1000円
実際には災害派遣が行われた後に増額が認めらたので、過去にさかのぼり計算されて給料に反映されたようです。
このおかげもあって、東日本大震災での災害派遣後は懐があったかい自衛官が増えたとかなんとか…。

私の夫も東日本大震災で災害派遣に行ったのですが、当時の給料明細をみたら万単位で増えてましたね。
東日本大震災のときはこんな手当もありました
災害派遣手当とは別に「死体処理手当」っていうのも自衛隊にはあります。
防衛大臣の定める施設に配置され当該施設における死体の処理作業に従事する職員(一般職給与法別表第一行政職俸給表の適用を受ける者に限る。)又は自衛隊法第八十三条若しくは第八十三条の三の規定により派遣されて行う死体の収容作業その他の死体を取り扱う作業で防衛大臣の定めるものに従事する職員(医療業務に従事することを本務とする医師又は看護等の業務に従事することを本務とする看護師若しくは准看護師である者を除く。)

東日本大震災のときなんかは、たくさんの隊員が遺体の収容や搬送に当たりましたね。
支給額については
となっています。
災害派遣手当が支給されない場合もある!?

実は、自衛隊の災害派遣手当というのは、連続2日以上の勤務が条件となってます。
つまり、災害派遣されたとしても一日で作業が終われば手当無しなのです。
例えば…
このように、災害派遣で出動しても場合によっては手当がつかないこともあるんですね。
1日で終わる災害派遣も結構ある
例えば、海上で民間船舶が座礁して動けなくなった時なんかも、人命救助として自衛隊へ災害派遣要請がいくことがあるのですが、こういうケースはだいたい1日で終わります。
あとは、山に山菜取りに行って行方不明になった人の捜索にも、たまに自衛隊に災害派遣要請がでます。
この場合も1日で行方不明者が発見されたりして撤収命令が出ることがあります。

災害派遣のほとんどは、1日~3日程度なので、東日本大震災のように長期間も災害派遣が続くことは本当に稀なんですね。
自衛官が災害派遣で手当をもらうのはおかしいのか?
自衛官は、何かあったときには家族よりも優先して仕事に向かいます。
でも、国を守るための自衛官が本来の仕事をして手当が支給されるのはおかしい…!と言う方もいます。
そもそも、災害派遣手当というのは、自衛隊のみならず他の地方公務員などにもあります。
公務員だから災害時の危険なときは昼夜問わず基本給だけで働け!と言うのは違うんじゃないかと私は思います。
公務員も納税者。公務員の収入が減ると巡り巡ってその自治体への納税額も減ります。
ということは、自治体が復旧するためのお金も減るということです。
一般的なサラリーマンの出張手当より安い災害派遣手当
ちなみに日本のサラリーマンの日帰り出張手当は、人事労務分野の情報機関である産労総合研究所の「2019年度 国内・海外出張旅費に関する調査」によると、一般社員で2,094円だそう。
日帰り出張の日当を支給する企業は84.2%。平均支給額(距離・時間・地域区分がない場合)は,部長クラス2,666円,一般社員2,094円
2019年度 国内・海外出張旅費に関する調査
自衛隊の災害派遣手当は、一般企業の社員の日帰り出張手当より安いみたいですね。
しかも上記の金額は、2日連続で現場で作業しないと支給されません。

金額はともあれ、災害派遣で頑張った人には手当を支給してあげてもバチはあたらないじゃないかと思います。
意外と大きい自衛官本人の経済的な負担
災害派遣手当が出て自衛官って羨ましい!と思う人もいるかもしれません。
でも、実は自衛官本人の経済的な負担っていうも結構大きいんですよね。
実際のところ、自衛隊員の装備品はすべて支給品で賄っているわけではありません。
ヘッドライトやグローブといった本当に身近な備品でさえ、自腹で購入し作業にあたっている隊員が多いのです。
買いに行く暇がないときは、自宅にある備蓄から持ち出していくこともあります。

うちの夫も、訓練の度にグローブやライト類は自腹で購入しています。家計からでる仕事用品代はバカに出来ない金額になることもあります。

ぶっちゃけ自衛隊の支給品よりも、ワークマンで売ってるアイテムの方が頑丈で使い勝手も良いし快適。
例えば、自衛官は傘を差せない決まりになっているので、雨が降ってても迷彩柄の雨衣が必須となります。
その雨衣だって1着3万円くらいするものを「自腹」で用意しているんです。
支給品もありますが市販品と比べて機能性が低く、作業に支障が出るレベルだからだそうです。
「自衛隊の給料は安いか高いか?平均年収と比べてみました」でも書きましたが、自衛官の給料は平均年収のど真ん中です。
特に現場で頑張る20代の自衛官は給料が低いので、労いの意味も込めて手当は支給すべきだと私は思います。
自衛隊の災害派遣手当のまとめ
今回は自衛隊の災害派遣手当について、支給金額や支給条件などをまとめました。
- 災害派遣手当は日額1620円
- 特に危険な場合は日額3240円

自衛隊の災害派遣手当は「意外と少ないな」というのが私の感想です。
以上、自衛隊の災害派遣手当についてでした!
なお、自衛官の彼氏や家族が災害派遣に行ってしまい不安だという人は、「自衛官の彼氏が災害派遣に行って不安でたまらない!そんな時の処方箋」と言う記事もオススメです。
不安な気持ちが少しスッキリすると思います。
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自衛隊の給料や年収に関する記事は他にもいろいろあるので、気になる記事を読んでみてください。