転勤したら貰えるかもしれない、自衛隊の「広域異動手当」について説明します。
夫が自衛官で引越が決まったという自衛官妻の皆さん…、引越代は全然足りませんよね(笑)
実は自衛隊では、引越後から3年間に渡って支給される手当があります。
それが【広域異動手当】です。
転勤に関係する手当については「自衛隊の引越手当(赴任旅費)」もありますが、『広域異動手当』は異動距離が60km以上の人に支給される手当です。
ですがこの広域異動手当は、他の手当との兼ね合いによって支給額が減らされてしまう事もあります。
転勤後、給料明細を見て「あれ?なんか増えた?減った?」と不思議に思うことがあるかもしれないので覚えておくといいですね。
そこで今回は、自衛隊の広域異動手当についてザックリと紹介していきます!
この記事は、陸自の会計担当者さんからのアドバイスを元に作成しました!
広域異動手当を貰える条件とは
広域異動手当とは転属した際に支給される手当の一つで、 異動の日から3年間支給されます。
支給条件は『旧勤務地から新勤務地までの距離が60km以上』の場合に限ります。
転勤頻度の多い幹部自衛官だと、常にこの手当がついている状態になっている人も多いです。
広域異動手当の支給割合
広域移動手当には異動距離に応じて異なる料率が設定されてます。
異動距離60km以上300km未満 | 5% |
異動距離300km以上 | 10% |
つまり他県へ転勤する人なら、ほとんどの人が貰える可能性が高いってことです。
広域異動手当の計算方法
また、階級や扶養人数によって支給金額が違ってきます。
広域異動手当 =(俸給 + 扶養手当 + 管理職手当 + 営外手当 )× 支給割合
勤続年数が長くて俸給が高かったり、子供がたくさんいる家庭は、ちょっと多めの広域異動手当が貰えますね。
例えば一般的な自衛官家庭の場合で試算してみると…
【条件】
- 夫:2曹→基本給(俸給)が287,000 円
- 妻:専業主婦→扶養手当6500円
- 子供:3歳1人→扶養手当1万円
- 移動距離300km未満→支給割合5%
(俸給287,000 + 扶養手当16,500 + 管理職手当 0 + 営外手当6,350 )× 5% = 15,492円
つまり、3年間は毎月15,492円が給料に上乗せされるということになります。
我が家では支給された広域移動手当を3年間全部貯金して、次の引っ越しの費用に回しました。
注意!途中で扶養人数が減ると支給金額も減ります
広域異動手当は扶養人数によって金額が変わります。
つまり、途中で扶養人数の増減があると、扶養人数が変わった月から広域異動手当の金額も変わります。
妻が仕事を始めて扶養を外れた場合
例えば、引越後しばらくして落ち着いたら、妻が仕事を始める場合もあるでしょう。
その時もし妻が扶養を抜けたとしたら、広域移動手当も扶養を抜けた月から減額されます。
とはいっても妻の扶養手当は6500円なので、325円ほど広域異動手当が減るだけです。
子供が生まれた場合
逆に、転勤後に子供が生まれて扶養家族が増えることもあるでしょう。
その場合は、子供を扶養に入れた月から支給金額も増えます。
1人生まれるごとに約500円の広域異動手当が上乗せされます。
私も引越してから子供を2人産んだのですが、夫の俸給が上がったことも関係して、最初の時と比べると広域移動手当が3000円くらいアップしてましたよ。
【要注意】広域異動手当の支給割合が減ってしまう事も
実は『広域異動手当』は転勤先によっては支給割合が減る事もあります。
どんな転勤先に行くと減らされるのかというと、ずばり『地域手当が高い勤務先』です。
例えば…
- 広域異動手当が10%
- 地域手当6%
この2つの手当が同時に貰える事になった場合、合計16%も給料がアップすると思うじゃないですか。違うんです(笑)
実は、料率が高い方に合わせて支給割合が調整されます。
そして、優先的に支給されるのは地域手当のほうなんです。
う~ん、ややこしい!私も最初は意味が分からなかったので、ツイッターで『陸自の会計担当者』と言う方からアドバイスを貰いました!
つまり、こういうことです!
広域異動手当10%、地域手当6%の場合
例えば、転勤して広域異動手当が10%貰えることになり、さらに転勤先では地域手当が6%つくことになりました。
支給率は広域異動手当の方が高いので、10%を上限にして地域手当を優先的に支給します。
1〜3年目 | 地域6%:広域4%(合計10%) |
4年目以降 | 地域6%(広域消滅) |
逆に広域5%、地域10%になるとこうなります。
1〜3年目 | 地域10%:広域0%(合計10%) |
4年目以降 | 地域10% (広域消滅) |
つまり、地域手当の%の方が高い場所へ転勤すると、広域異動手当の恩恵は受けられないという事です。
広域異動手当5%、地域手当3%→0%の場合
例えば、もともと地域手当が3%ついていたのに、転勤先では地域手当が付かなくなったという場合もあります。
実は地域手当には「異動保障」と言う制度があり、転勤してから2年間は以前の勤務地の地域手当が支給されるんです。
(転勤して1年目は「地域手当3%」の10割支給、2年目は8割支給)
この時、もし広域異動手当が5%ついているなら、こうなります。
1年目 | 地域3%:広域2%(合計5%) |
2年目 | 地域2.4% : 広域2.6%(合計5%) |
3年目 | 地域0% : 広域5%(合計5%) |
4年目以降 | 広域消滅 |
もし広域異動手当が10%だったら、こうなります。
1年目 | 地域3%:広域7%(合計10%) |
2年目 | 地域2.4% : 広域7.6%(合計10%) |
3年目 | 地域0% : 広域10%(合計10%) |
4年目以降 | 広域消滅 |
こんな感じで支給割合が調整されます。
給料明細に記載された『地域』『広域』の金額が毎年変わるかもしれませんが、トータルの支給率は変わらないという事ですね。
まとめ
自衛隊の「広域異動手当」についてザックリ解説してきました。
転勤はあんまり乗り気じゃないですが、広域異動手当がつくと思えば少しは気が晴れますよね。
ただ、地域手当との兼ね合いもあるので、都会から地方へ転勤した場合は広域異動手当の恩恵はあまり受けられません。
でも、こうして知っておくことで「なんで急に手当が減ったの!?」と焦ることが無くなります。
自衛隊って国家公務員だから安定したお給料を貰えるとは言いますが、こうしてみると転勤後は給料変動大きいですね。
我が家では支給された広域異動手当は、全て次の引越費用にと貯金しました。なので官舎の退去費もバッチリ確保済です!
自衛隊の引越手当(赴任旅費)がどれくらい支給されるのか興味のある方は、コチラの記事もご覧ください。