自衛官と結婚し、それまで働いていた仕事を退職する女性もいますよね。
結婚当初は共働きだった夫婦も、妊娠出産で妻が専業主婦となり夫の扶養に入ることも珍しくありません。
自衛官の夫の扶養に入るとどのようになるかというと…
- 妻の分の国民年金を払わなくてもよい
- 妻の分の健康保険料を払わなくても良い
- 扶養控除で夫の住民税や所得税が安くなる
- 自衛隊の扶養手当が貰える
- 夫のボーナスや各種手当で扶養者分が加算される
このように、金銭的負担がとても減るんですね。
夫の仕事の都合で退職したり、妊娠出産で退職を余儀なくされる場合もあると思いますが、その際には夫の扶養に入っておくと安心です。
ただ、ハローワークで失業保険の認定を受けると、扶養に入れない場合もありますのでご注意ください。
今回は自衛官妻向けに、自衛隊の扶養手続きに必要な書類や手順についてご説明いたします。

私が実際に正社員を退職した時の経験をもとに、扶養に入る為に必要な書類・手続きなどを紹介していきます!ぜひ参考にしてくださいね!
自衛官と結婚して扶養に入る為のポイント

妻がそれまで勤めていた会社を退職し、自衛官である夫の扶養に入る際、必要なことは下記の通りです。
- 退職した会社から離職票などの書類を貰う
- 夫の職場へ離職票などの書類を提出する
- ハローワークで雇用保険受給(失業保険)の手続きをする

この時、特に注意しなければならいのが、雇用保険受給(失業保険)の手続きをすることです。
注意!雇用保険(失業保険)の日額が3,612円以上だと扶養に入れない
雇用保険の受給すると夫の扶養に入れないことがあります。
自衛隊の扶養条件には「雇用保険受給日額が3,612円未満の場合」とちゃんと規定があります。
正社員で働いていて月額18万円の給料をもらっていた場合や、年収250万円以上だった人の場合は、ほとんどの人が雇用保険の金額が3,612円以上になると思います。

私も結婚前は田舎の事務職で正社員をしていましたが、月額18万円の給料で雇用保険の日額は4,556円となったので扶養には入れませんでした。
その場合は、一旦失業保険を受給し終えてから、扶養申請を行う事になります。
もしくは雇用保険受給の手続きを放棄する場合は、すぐに扶養に入ることもできます。
ちなみに自分の雇用保険の日額がいくらか?についてはコチラサイト(雇用保険の給付額(失業給付金)の計算)で大体の金額が計算できます。
【妊娠中の人限定!】すぐに扶養に入りつつ、産後に失業保険を貰う方法
実は、妊娠・出産・育児で退職する女性の場合は、雇用保険受給期間の延長をすれば、雇用保険受給日額が3,612円以上でもスグに扶養に入ることができます。
これはハローワークの「基本手当」で、ちゃんと認められた制度なんです。
雇用保険の受給期間は、原則として、離職した日の翌日から1年間(所定給付日数330日の方は1年と30日、360日の方は1年と60日)ですが、その間に病気、けが、妊娠、出産、育児等の理由により引き続き30日以上働くことができなくなったときは、その働くことのできなくなった日数だけ、受給期間を延長することができます。ただし、延長できる期間は最長で3年間となっています。
ハローワーク・基本手当について
通常、自己都合退社の場合は、1年以内に雇用保険を貰いきらなければいけません。
そして、自己都合の場合には、待機から受給を合わせると合計6か月かかります。
妊娠中に6か月も待っていたら、人によっては扶養に入れないまま出産ということもありえますよね。
妊娠中・産後は何かとお金がかかりますし、少しでも金銭的な負担を減らす為にも、退職したらスグに扶養に入った状態がベストですよね。
かといって、せっかくもらえる失業保険の権利を放棄するの勿体ないです。
そこで「雇用保険受給期間の延長」をすれば、退職後すぐに夫の扶養に入れますし、最大3年間の雇用保険受給期間の延長が可能になります。
単純に雇用保険受給の期間が1年~3年と長くなるだけなので、手続きを開始しなければ自衛隊の扶養に入っても全然OKというわけです。
産後、子供を保育園に預けて働きたい人は、この制度を使うと求職中に失業保険をもらえるようになります。

すぐ扶養にはいりたい、だけど雇用保険も貰いたい…という妊婦さんにはもってこいの制度です。
雇用保険を受給するか、しないかで手続きが変わる
つまり、結婚し退職して妻が夫の扶養に入る際には…
- 雇用保険の受給日額が3,612円未満かどうか
- 退職する際は妻が妊娠をしているか
この2つがポイントになってきます。
雇用保険を受給するかしないかで、扶養の手続きや流れが変わるので、よく確認しておきましょう。
妻が会社を辞める際、退職時に必要な書類一覧

それではさっそく、妻が会社を辞める際に必要な書類から説明しますね。
これは正社員で会社を退職する人なら、誰でも共通する書類です。
退職時、退職後、それぞれ貰う書類がいつくかありますので、チェックしてみましょう。
この中で「退職証明証」というのがありますが、これは自衛官である夫が扶養申請のために必要な書類として自衛隊に提出するものです。
それ以外の書類は妻が退職する際に会社側から貰えます。
退職証明書について
退職証明証は、自衛隊の厚生課から夫が持ってきます。
このとき夫が厚生課に「妻が仕事を辞めて扶養に入ります」ということを伝えておかないと、厚生課の人は書類を渡してくれません。
「退職証明証」は妻の会社の責任者サインや判が必要になります。妻が退職する日までに記入をしてもらいましょう。

退職日の5日前までに退職証明証が手元に来なかった場合は、夫に催促してもってきてもらいましょう。 じゃないと退職後に辞めた職場に行く羽目になります。
自衛官妻の扶養申請の為の手続き&流れ

では、いよいよ扶養申請の流れを説明します。
- 雇用保険を受給しない場合(もしくは月額3,612円未満の方)
- 雇用保険を受給する場合(月額3,612円以上の方)
- 雇用保険の受給を延長する場合
ご自分のケースにあった手順を参考に、扶養手続きをして貰ってください。
雇用保険を受給しない場合(もしくは月額3,612円未満の方)
- 妻の会社から「離職票1,2」「健康保険資格喪失証」「記入済の退職証明証」を貰う。
- 退職後、扶養申請に必要な上記3つの書類を自衛隊へ提出。
- 失業保険が月額3,612円未満の方はハローワークで手続きをする。

雇用保険をもらわない人はハローワークに行く必要はありません。
雇用保険を受給する場合(月額3,612円以上の方)
- 妻の会社から「離職票1,2」「健康保険資格喪失証」「記入済の退職証明証」を貰う。
- 退職後「離職票1,2」をハローワークに提出し、雇用保険受給の手続きをする。
- 役所に「健康保険資格喪失証」を持っていき、国民年金・国民健康保険に加入する
- 雇用保険の受給が終わってから、「記入済の退職証明証」を自衛隊に提出し扶養の手続きを取ってもらう

国民年金と国民健康保険はびっくりするほど高いです。それでも、まったく貰わないよりかはプラスになるので、貰える時に貰っておきましょう。
注意!扶養に入らない期間のデメリット
雇用保険をもらうと扶養に入れませんが、その際のデメリットは転勤の際に引っ越し手当が減ることです。
例えば、雇用保険を受給している間に夫に辞令がでて転勤になった場合、妻が扶養に入っていなければ引越代の支給も1人分となります。
もし夫が近いうちに転勤になりそうだったり、突然辞令がでる可能性のある幹部自衛官だった場合は、最初から雇用保険を受給を放棄してスグに扶養に入った方が良いです。
雇用保険の受給を延長する場合(妊娠中の方)
- 妻の会社から「離職票1,2」「社会保険資格喪失証」「記入済の退職証明証」を貰う。
- 退職後、扶養申請に必要な上記3つの書類を自衛隊へ提出。
- 退職してから1か月間後に、ハローワークで雇用保険の延長手続きをします。(母子手帳と、厚生課に預けていた離職票を持っていく)
- ハローワークから返却された離職票を自衛隊に再度提出し、扶養の手続きを取ってもらう
- 3年以内に雇用保険延長を解除し、雇用保険受給の手続きを開始する

これで安心して妊娠中も扶養内でいられるし、出産後に働きたいと思ったら雇用保険を受給しながら求職活動ができます。
離職票があっちこっちに行くので紛失注意
扶養申請に重要な「離職票」があっちこっちに移動するので、紛失に気を付けてください。
- 退職後すぐ自衛隊へ提出
- 退職から一か月後、自衛隊からハローワークへ
- 雇用保険受給期間延長の手続完了後、ハローワークから自衛隊へ
- 雇用保険受給期間延長の解除時、自衛隊からハローワークへ
離職票は雇用保険の手続きで必ず必要になります。
扶養に入る際には自衛隊側に預けることになるのですが、必要な場合は夫を通して厚生課から返却してもらう事が可能です。
雇用保険受給期間延長を解除する際の注意点①
雇用保険延長には最大3年という期限がありますが、「3年経過してから手続きを開始」ではなく「3年以内に雇用保険の手続き&受給を終える事」なので、うっかり期限切れにならないように注意しましょう。
また、雇用保険の受給手続きを開始した時点で夫の扶養には入れないので、自分で役所へ行って国民年金と健康保険への加入が必要となります。
自己都合退社であれば、雇用保険を貰いきるまで最短約6か月間かかります。
もちろんその間は夫の扶養には入れませんので、ちゃんと夫に説明して扶養から外してもらいましょう。
雇用保険受給期間延長を解除する際の注意点②
もう一つ注意して欲しいのが、雇用保険は起業するともらえなくなるということです。
最近は在宅ワークでパート並みの金額を稼ぐ人も増えていますよね。
確定申告をする都合で税務署に「開業届」を出す人もいると思うのですが、その時点で起業(個人事業主)となり、雇用保険の受給資格はなくなります。

実はこの記事を書いている私も、雇用保険の受給延長の手続きをしたまま、解除することなく期限が切れてしまいました。
ちなみに起業して個人事業主になっても、売上から経費を引いた金額が年収130万円以下なら扶養にはいれます。
自衛隊の扶養家族の健康保険証(組合員証)について

さて、扶養申請が通れば、約2週間前後で新しい健康保険証(組合員証)が交付されます。
妊娠出産で病院へ通院しなければならい場合、新しい保険証が間に合わないこともあります。
病院へは、「現在手続き中」ということを伝え、一旦全額負担で支払うことになります。
その後、新しい保険証を提示して差額を返金してもらうという方法もあります。
病院によっては会計は出すけど支払いは後日保険証が届いてから再清算します、という場合もあります。
どちらにしても、保険証が手元に届けば正規の医療費負担で済むので安心してください。
関連自衛隊の自衛官診療証と共済組合員証の違いについて。現役自衛官妻が使い方を解説
まとめ

自衛官と結婚後、妻が夫の扶養に入る為の手続きについて紹介しました。
特に注意して欲しいのが雇用保険の受給金額ですね。
扶養に入ることで得られるメリットと、雇用保険で貰えるトータル金額&支払う税金などを考えて
- すぐに扶養に入ったほうがいいのか?
- 雇用保険を貰いきってから入ったほうが良いのか?
を考えることになります。
妊娠中であれば、なるべくすぐに扶養に入っていたほうが安心だと私は思うのですが、その際は「雇用保険受給期間の延長」という制度もあるので覚えておいてください。
スグに扶養に入れますし、産後に一旦扶養を抜けて雇用保険をもらう事ができます。

私も退職時に妊娠していたので「雇用保険受給期間の延長」手続きをして、すぐに扶養に入ることができましたよ!
「雇用保険受給期間の延長」をして扶養に入る場合には、念のため夫を通して厚生課の人へ確認を取っておきましょう。
担当者がこの制度について知らない場合や、夫もよく理解でいないまま「失業保険貰うみたいです」と説明してしまう可能性もあります。
そうなると本来扶養に入れるケースでも、扶養に入れないと言われることもあるので気を付けてくださいね。
なお、扶養内でパートを始めるという自衛官妻は、コチラの記事もチェックしてください。
自衛隊の扶養手当の金額・扶養認定の条件はコチラです。