自衛官と結婚後も、扶養内でパートやアルバイトをしたいという人もいるでしょう。

でも、扶養内で働くって具体的にどうすればいいのか分からないですよね。
この記事では
- 自衛隊の妻が扶養内で働くための条件
- 103万、130万の壁について
- 扶養を外れるときのタイミング
- 扶養手当は年収いくらから無くなるのか
この4点について説明していきますね!
自衛隊の扶養内の条件は?
自衛隊では自衛隊員の扶養者となると、「扶養手当」が支給されるほか、「年金・健康保険」も掛け金を支払わなくてもOKになります。
これが「扶養内」の状態です。
それでは、自衛隊の扶養内の条件について説明しますね。
自衛隊での扶養認定の条件
- 恒常的収入が年額130万円以下の場合。(年額とはある一定期間だけではなく各月からカウントした12ヶ月の総額)
- 収入の全部または一部が公的年金等の給付による収入である方については、恒常的収入が年額108万円以下の場合。
- 雇用保険受給日額が3,612円以下の場合。
- 就職以後1年経過していない時期でも、雇用状況を確認し年額推計収入額を算出した際130万円以下の場合。なお、月額108,333円を数ヶ月続けて超過した際、雇用状況を確認し取消となる場合もあります。
簡単に言えば、「パートやアルバイトで年収が130万超えなければ扶養内」ということです。

扶養内で働きたい人は月額108,333円を超えないように注意しましょう。
【注意】退職して雇用保険(失業保険)を受給すると扶養に入れないこともあります
たとえば、自衛官の夫と結婚する為に、正社員を退職し雇用保険を受給する場合もあるでしょう。
その場合、雇用保険受給日額が3,612円以上になると扶養に入れません。
貰いきってから扶養に入ることになります。
もちろん雇用保険受給日額が3,612円以下の場合は、受給しながら扶養内になることができますよ。
パート収入103万・130万の壁の意味
よく「103万の壁」「130万の壁」というのを聞きますよね。
これが何なのかよくわからない人も多いと思います。
「103万を超えたら扶養から外れちゃうの?」
「130万までは稼いで大丈夫なの?」
というお悩みがあることかと思いますので、ここでハッキリと回答をいたします。
年収103万を超えても扶養から外れない
一般的には「扶養から外れる」というのは、年金や健康保険を自分で払うことを意味します。
それに対して「103万の壁」というのは、「所得税が発生」することを意味します。

扶養と一口にいっても「所得税の扶養」と「年金・健康保険の扶養」の2種類があるんですね。
130万の壁を超えると夫の扶養から外れます
それでは今度は「130万の壁」について。
この状態が一般的に言う「扶養から外れる」という状態です。
夫の扶養内でいたときは妻は自分の「健康保険」と「年金」は掛金を払わなくても良かったのですが、130万を超えると自分で払う必要があります。
国民年金の掛け金の金額
国民年金の掛け金は、年齢や年収にかかわらず一律です。
令和2年度の場合は、月16,540円となっています。
ちなみに掛金の金額は毎年変わります。
国民健康保険の掛け金の金額
国民健康保険の金額は年収によって変わります。
尚、勤め先が社会保険に加入していれば、会社側が半分負担して払ってくれます。
そうでない場合は「国民健康保険」に加入しなければなりません。(手続きは役所で行います。)
目安として、昨年の収入が200万円だった人は、保険料は約13万円~16万円(年額)になります。

年収130万を超えると一気に手取りが減りますよ。
妻の年収が103万~201万なら夫の所得税が安くなる
年収130万円を超えたからといって、全てが損と言うわけでもありません。
妻の年収が103万円~201万円以下までなら、【配偶者控除・配偶者特別控除】が適応されて、夫の所得税がいくらか安くなります。

・社会保険の扶養内は130万円まで。
・所得税の扶養は201万円まで。
と覚えておくといいですよ!
自衛隊の夫の扶養から外れてしまう金額とタイミング
では、今度は扶養を外れてしまうタイミングをお伝えします。

先月のパート代が108,333円を超えたけど扶養抜けなきゃいけないの?」

結婚して仕事を退職したけど、雇用保険は貰っても扶養に入れるのかしら?

働き始めて3か月だけど、まだ合計130万も稼いでないから平気よね?
と、人によって色々な就労条件があるので、いつどんなタイミングで扶養を抜けるのか知りたい人もいるかと思います。
そこで「こんな場合には扶養を抜けるよ、抜けないよ」という事例を紹介したいと思います。
パート代が1カ月だけ108,333円を超えた場合

先月は出勤日の計算を間違えて、給料が108,333円を超えちゃった!すぐに扶養から抜けなきゃいけないのかしら!?

大丈夫、次の月は出勤日を少なくして給料を減らせば問題ありません。扶養を抜けなくてもOKです。
解説
自衛隊の扶養認定条件では次のようにあります。
つまり、ある月だけ給料が高く、ある月だけ給料が低く…という場合。
過去12ヶ月間の総額を、130万円以下で調整できていれば扶養内のまま働くことができます。
ボーナスや一時手当で1カ月だけ大きく給料が増えた場合

パートなのにボーナスが出て給料が10万円を大きく超えてしまった。来月から出勤日を調整して年額130万以下にすれば扶養内でいられるのよね?

ボーナスを貰った月を含めた3か月間の月平均が、108,333円以上になるなら扶養を外れなければいけません。
解説
自衛隊の扶養認定条件では次のようにあります。
自衛隊では「3か月間」を扶養認定の基準として計算するようです。
過去12にか月間で、3か月の月平均が108,333円を超えた時期が1つでもあれば、扶養から外れてしまうことになります。
具体例
例えば、月10万円のパート収入で、12月にボーナスを貰い20万円の収入になった場合…
11月:10万
12月:20万
=月平均133,333円

ボーナスを貰ったことで3か月の月平均が108,333円を超えてしまうので、扶養から外れることになります。
もしも、月5万円のパート収入で、12月にボーナスを貰い20万円の収入になった場合…
11月:5万
12月:20万
=月平均100,000円

ボーナスを貰っても3か月の月平均が108,333円以下なので、扶養に入ったままでOKです。
結婚して退職後、雇用保険を貰いながら扶養に入る場合

結婚して仕事を辞めたから夫の扶養に入ったけど、雇用保険は貰っていいのよね?

雇用保険は受給してもOK。ただし、金額によっては扶養に入れないことがあります。
解説
自衛隊の扶養認定条件では次のようにあります。
雇用保険受給日額が3,612円以下の場合。
結婚や転勤を機に仕事を退職して、自衛官の夫の扶養に入る人も多いですよね。
仕事を辞めるとハローワークに行って雇用保険の受給手続きをすると思います。
この時、雇用保険の日額が3,621円より多ければ、夫の扶養に入れません。
貰い終わってから扶養内の手続きをすることになります。
待機期間の3か月間は自分で「国民年金・国民健康保険」を支払わなければならないのです。

ちなみに内緒で雇用保険を受給しても後でバレます。
私の知り合いの自衛官妻はこの制度のことを知らずに、扶養に入りながら日額が3,621円以上の雇用保険を受給していました。
その結果、後日、該当期間の扶養手当などを返還するよう連絡が来たそうです。
もちろん年金・健康保険もさかのぼって自分で納付することになったそうですよ。
毎月の給料が108,333円を超える仕事を始めた場合

今月から事務職に採用されて月給11万を貰えることになったけど、働き始めて3か月だからまだ合計130万も稼いでないから平気よね?

月額108,333円を超える月給を貰う人は、たとえ1年間働くかどうか分からなくても扶養から外れてしまいます。
解説
自衛隊の扶養認定条件では次のようにあります。
就職以後1年経過していない時期でも、雇用状況を確認し年額推計収入額を算出した際130万円以下の場合。なお、月額108,333円を数ヶ月続けて超過した際、雇用状況を確認し取消となる場合もあります。
パートやアルバイトでも時給ではなく「月給」として、毎月決まったお給料をもらう人もいると思います。
その場合、1年間の推定年収が130万を超えると判断されれば、就労1ヶ月目から扶養を外れることになります。
自営業やフリーランスは扶養条件がちょっと違ってきます
ちなみに、パートやアルバイトなど会社などから給与をもらう「給与所得者」と、自分で起業・開業している「事業所得者」とでは若干「扶養の認定条件」というのが違います。
例えばフリーランスや在宅ワークで仕事をしている人は、総収入が130万を超えても扶養内でいられることもあります。
詳細を確認したい方は、コチラの方の記事がとても参考になりますよ。
年収130万円以下でも扶養から外れるケースもあります
実は、年収が130万円以下にもかかわらず、扶養を抜けなければいけない場合もあるので覚えておきましょう。
例えば、勤め先で社会保険に入らなければいけない場合です。
従業員501人以上の会社に勤める場合は社会保険に加入する義務がある!?
大手企業の社員や自治体の職員など、従業員501人以上の組織に勤める場合は
- 月額収入が8万8,000円以上
- 週の労働時間が20時間以上
- 雇用期間1年以上
といった条件を満たすと、妻もその会社を通じて社会保険への加入が義務づけられることになります。
その為、年収が130万円以下でも夫の扶養を外れることになります。

派遣や臨時勤務でも、扶養から外れたくない場合は注意しておきましょう。
扶養を外れると扶養手当も無くなるのでご注意を!
それと忘れてはいけないのが「扶養手当」です。
自衛隊では配偶者の扶養手当は月額6500円となっています。
扶養から外れると、この扶養手当ももらえなくなってしまいます。
他にも、扶養手当が加算される自衛隊の手当は多いので注意が必要です。
たとえば、転勤による引越しの際には、扶養者の人数によって手当の支給額に十数万円の差がでることもあります。
関連自衛隊の引越手当(赴任旅費)の金額はこれくらい。扶養家族で2倍の金額差に!?
つまり、扶養から外れることで
- 国民年金の支払い
- 健康保険の支払い
- 扶養手当がなくなる
このトリプルパンチがくるってことですね。
また、年収201万円以上になると配偶者特別控除が適応されなくなるので、夫の所得税が安くなりません。
年収130万円だったときより、家庭全体で見た手取りは数万円少なくなるので働き損となってしまいます。

そうなるのが嫌な人は、「扶養範囲内」に気を付けて働きましょう!
ちなみに働き損にならないのは年収170万円以上と言われています。
どうせ扶養をぬけるのなら、年収170万円の仕事をするようにすると良いですよ!
自衛官妻に向いているお仕事を記事にしたのがコチラです。
自衛隊の妻が扶養内で働く為のおさらい
それでは最後に、自衛官妻が扶養内でいるための条件をおさらいします。
- 過去12ヶ月の年収が130万円以下
- 雇用保険受給日額が3,612円以下
- 3ヶ月連続の月額が108,333円以下
いろんな雇用条件、給与形態があるので、少しでも扶養を外れる不安がある場合は自衛隊の厚生課に確認しましょう。
もし「指摘されてから扶養を外れよう」と、伸ばし伸ばしにしていると大変なことになりますよ。
本来扶養を外れるはずだった期間からさかのぼって、支給された扶養手当等を返納することになります。
それに合わせて、支払うはずだった年金・健康保険も払わなければいけません。
これらは給料天引きで返納することがほとんどなので、場合によって返納分だけで毎月十万円単位も引かれることもあります。
夫が演習中だったり入校中で確認してもらいにくいときは、自分から自衛隊側へ電話をして確認したほうが早いです。
夫の駐屯地・基地に電話をかけたら、「厚生課の短期係をお願いします」と言うと繋いでくれますよ!

しっかりと扶養条件を確認して、安心して仕事ができたら良いですね!
なお、自衛隊の扶養についてはコチラの記事でも詳しく説明しています。