自衛隊では自衛官の定年延長が決定しました。
2020年から段階的に定年を延ばしていくようですが、これにより退職金や若年給付金に何か影響があるのでしょうか?
定年が伸びるから退職金の金額は増える?それとも減る?
若年給付金の制度は存続のまま?それともなくなっちゃう?

うちは夫が自衛官です。定年延長はライフプランを根底から揺るがす大事件!将来の退職金や定年退職後に貰える若年給付金について心配です!
というわけで、今回は自衛隊の退職金や若年給付金が今後どうなるのかを検証してみました。
自衛隊の定年延長で退職金の金額は増える?減る?
自衛隊の定年が延長になったということは、勤続年数が増えるということですよね。
自衛隊の退職金は勤続年数で計算されますから、つまり定年が延長されると退職金が増えるということになるんでしょうか?
まずは自衛隊の退職金の計算方法について詳しく勉強してみましょう。
退職金の計算方法
自衛隊の退職金の計算方法はとっても単純です。
そして実際の計算方法がこちら。
退職日の時点での月給(俸給額)に支給率をかけて、それに階級による調整額というものをプラスして退職金が計算されます。
つまり、退職の時点でどの階級にいて、そのときの月額給与がいくらかによって退職金の金額は変わってくるというわけですね。
① 退職時の階級
② 退職時の俸給
③ 勤続年数
これがわかれば退職金を計算できるというわけです。
給料明細に俸給額が書いていますが、もし将来予想される俸給額を知りたい方は自衛隊俸給表を確認してみてください。
なお、自衛隊の俸給表の見方についてはコチラで詳しく説明しています。

自衛隊の退職金の支給率について
ちなみに支給率は勤続年数で変わってきます。
現在の支給率はこんな感じです。(平成30年4月現在)
勤続年数22年 | 27.93倍 |
勤続年数23年 | 29.60倍 |
勤続年数24年 | 31.28倍 |
勤続年数25年 | 33.27倍 |
勤続年数26年 | 34.77倍 |
勤続年数27年 | 36.28倍 |
勤続年数28年 | 37.79倍 |
勤続年数29年 | 39.29倍 |
勤続年数30年 | 40.83倍 |
勤続年数31年 | 42.31倍 |
勤続年数32年 | 42.81倍 |
勤続年数33年 | 45.32倍 |
勤続年数34年 | 45.83倍 |
勤続年数35年~ | 47.70倍 |
勤続年数35年が一番支給率が高いというわけです。
高卒18歳で入隊したら53歳ですね。
一般自衛官の定年退職時の年齢にぴったりと当てはまります。
定年延長により一般自衛官の定年が1年~4年伸びると、大卒で入隊した人にはプラスになりますね。
22歳から入隊して35年務めたとすると、定年時の年齢は57歳です。
自衛隊の退職金の調整額について
退職金の計算には、調整額がプラスされます。
調整月額 × 60月で計算されます。
階級 | 調整額 |
---|---|
2曹以下 | 0 |
1曹~2尉 | 1,002,000 |
1尉 | 1,251,000 |
3佐 | 1,500,000 |
2佐 | 2,001,000 |
1佐 | 2,502,000 |
1佐 | 2,751,000 |
将補、1佐 | 3,000,000 |
総理大臣が定める将補 | 3,249,000 |
将(5号俸以下)将補(一) | 3,750,000 |
将(6号俸以上) | 4,752,000 |

この調整額も、定年延長によって多少は変更になるかもしれません。
高卒入隊で定年退職する場合の退職金
仮に高卒(18歳)で入隊して、54歳で定年するとしましょう。
そのとき定年時の階級が曹長だったとします。
退職金の計算額はこうです。
定年時の俸給額:388,800円
支給率:47.70倍(勤続年数36年)
調整額:1,002,000円
388,800(俸給)×47.70(支給率)+1,002,000(調整額)
=1954万円
というわけで、約2000万円の退職金がもらえるというわけですね。

高卒入隊の人の場合は定年延長により支給率が上がることがないので、退職金が増えるということはなさそうですね。頭打ち状態と言えます。
32歳入隊して定年退職する場合
今度は32歳で入隊した場合の退職金を計算してみます。
なんで32歳なのかというと、自衛隊の入隊年齢も32歳に引き上げになったからです。
仮に32歳入隊、54歳で定年、定年時2曹だったとしたら…
退職金の計算額はこうです。
定年時の俸給額:285,400円
支給率:27.93倍(勤続年数22年)
調整額:0円
285,400(俸給)×27.93(支給率)+0(調整額)
=797万円
というわけで、約800万円の退職金がもらえるというわけですね。

これから定年延長になるので、1年増えるたびに退職金は増えるということになりますね。とはいっても、やはり早い年齢のうちに入隊したほうが退職期は多くなります。
自衛隊の退職金は勤続35年で頭打ち
現行の制度のままで行くと、支給率は勤続35年で頭打ちとなります。
つまり、定年延長で勤続年数が35年以上になったとしても、退職金が増えるわけではありません。
むしろ近年の傾向として、支給率自体が減っているので、将来私たちが定年を迎えるころには貰える退職金はもっと減っている可能性があります。

定年が延長になったからといって、高卒入隊者の場合は大幅に退職金が増えるということはなさそうです。
自衛隊の定年延長で若年給付金はどうなる?
では、若年給付金はどうなるでしょう?
若年給付金の制度のおさらい
若年定年退職者給付金(じゃくねんていねんたいしょくしゃきゅうふきん)[1]とは、若年で定年退職する自衛官に対し支給される給付金のこと。
通常自衛官は54歳・55歳で定年するので、そのことにより受ける所得上の不利益を軽減することが目的で支給される。
この制度は、1990年(平成2年)に、それまでは定年直後から受給できた共済年金の特例が廃止されたことに伴い創設された。
つまり、定年退職自衛官は、年金支給までの間に給付金を貰えるという制度です。
現在ではほとんどの定年退職自衛官がこの若年給付金を貰ってます。
定年退職をするとほとんどの自衛官が再就職をするのですが、自衛隊時代の給料より収入が減る人がほとんど。
その減った収入を若年給付金で賄っている状態というわけです。
ちなみに…
再就職先の給料が良すぎて一定額を超えた場合は、若年給付金は返納になります。

一旦あげといて稼ぎすぎだから返せという制度は疑問ですが、まぁつまりは定年退職してもそれなりに暮らせる金額をくれるというわけです。
若年給付金の金額や計算方法についてはコチラの記事をご覧ください
関連:自衛隊の若年給付金の金額はいくら?計算方法や支給日について
定年延長で若年給付金はなくなるの?
で、この若年給付金ですが、将来定年が延長になるとなくなるのでは?という噂があります。
あくまで噂ね。
というのも、定年が何年伸びるか不明ですが、仮に60歳定年になれば一応は年金受給年齢と同じです。
つまり、再就職をする必要がありません。
ということは若年給付金制度も必要なくなるのでは?
ですが、将来年金の受給年齢が70歳に引き上げになるとも言われていますよね。
そうなると、やはり定年退職したあと、年金をもらうまでに空白の期間ができてしまいます。
その間は若年給付金がないと困りますよね。
このあたりについては、専門家の間でも「まったくの未知数」と言われているので、今現在の状態ではどうこう言えない状態です。
ちなみに、自衛官の退職後の再就職についてはコチラの記事をご覧ください。
自衛隊の退職金と若年給付金に関するまとめ
定年延長による自衛隊の退職金への影響ですが、高卒入隊者であればあまり変動なし。
平均して2000万円の退職金がもらえると思います。
大卒入隊者や、32歳で入隊してくる人にとっては勤続年数を延ばすことができるので恩恵があるかもしれません。
ただ、退職金の支給率は年々下がっているので、一概に将来は2000万円!とは言えないです。
なお、若年給付金については、まったくの未知数。
これから制度が整ってくると思いますので、なにか公式で発表があれば記事にしてまとめていきたいとおもいます。

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- 自衛官の定年が延長されるって聞いたけど何歳まで?
夫や彼氏が自衛官だと、定年後の生活について不安になったり心配になったりする女性も多いと思います。
そこで自衛官の定年退職に関する全てのことをまとめてみましたので、ぜひ参考にしてくださいね!
なお、自衛隊の給料は俸給表に基づいて支給されています。
自衛隊俸給表は凄く見づらいので、誰でもわかるようにコチラで詳しく説明しているので良かったら見てください。
